初心者向け~ポスターカラーで描く年賀状用手書きイラスト(だるま)

皆さん、こんにちは!
ポスターカラー大好きイラストレーターのすずきかずたかです。


ポスターカラーで描いた作品

 

今回は年賀状用のイラストのひとつとして「だるま」を描いてみたいと思います。

 

「だるま」とは?

「だるま」とは、元々は昔インドから中国に仏教を伝えた「達磨大師」という名前のお坊さんの事です。

現在置き物として親しまれている「だるま」はこの「達磨大師」がモデルになっています。
日本での起源は、室町時代に作られた「起き上がりこぼし(起き上がり小法師)」です。
だるまは赤い色をしていますが、これは昔から日本では赤は魔よけの効果がある色と信じられていた為です。
長い間、ひとつの事をやり遂げた達磨大師にあやかって、倒れても倒れても置き上がってくる「起き上がり小法師」の不撓不屈(ふとうふくつ)の精神が、だるまには込められていると言われています。

 

 

下描き

それではまずだるまの下描きから始めます。
いつも通り、2B、4B、6Bなどの、芯が柔らかくて色の濃い鉛筆を使います。
ちなみに僕は4Bを使っています。

 

まずだるまの輪郭を描きます。
だるまの輪郭はほぼ卵型をしています。
顔は、丁度卵の中から長方形の小窓を開けて、中から覗いているようなイメージです。

 

 

輪郭が描けたら、細部を描き込んで行きます。
基本的には写真や実物を見ながら描いた方が上達は速いと思いますが、ご存知のようにだるまは達磨大師の強い意志を表すように、少し怖い顔をしています。

 

ここでは実物通りに描きますが、年賀状用のイラストとして描き方をお伝えしているので、顔は笑顔にしたり、知っている方の似顔絵などにしても笑えて面白いかも知れませんね。

 

だるまには多くの場合、模様の他に腹の部分に漢字が書かれています。
この漢字は、必ずしも実物と同じでなくても構いません。
僕は一般的な「福入」と書きましたが、もっと書きやすい漢字、相手に伝えたい意味のある漢字を書いたり、場合によっては模様を同じように並べて漢字は書かなくても良いと思います。
あくまで「倒れても倒れても起き上がる」だるまさん自体が縁起が良いという事で、年賀状に描くわけですからね。

 

 

色塗り

下描きが出来たら、ポスターカラーを使って色塗りを始めます。
今回、僕はニッカ―のポスターカラーの「カーマイン」「ジョンブリアン」「イエローオーカー」「ブラック」「スノーホワイト」「ライトレッド」の6色を使います。
ポスターカラーはニッカ―のものが使いやすくておススメですが、絶対にニッカ―でなくてはならないわけではありませんし、色も僕が使用するものと全く同じでなくても構いません。

まず顔の部分をジョンブリアン(肌色)で塗っていきます。
だるまの顔にはヒゲなど黒いパーツが多いので、先に薄い色から塗っていった方が、はみ出しなどを修正する時に楽です。

 

 

肌の部分が塗れたら、眉毛や目玉、ヒゲなどをブラックで、鼻や口の部分をカーマインで塗ります。
この時にもしはみ出してしまったら、乾くのを待ってジョンブリアンで更に重ね塗りしましょう。
乾いた後であっても、重ね塗りする時はできるだけそっと塗ってください。
ブラックやカーマインのように「濃い色」に、ジョンブリアンのような薄い色で重ね塗りをする時は、どうしても下の色が勝ってしまいます。
なので、1回そっと塗っても下の色が見えるようなら、更に乾くのを待って2回か3回くらい重ね塗りするつもりで気長にやりましょう。


だるまの目玉は、その強い意志を表す部分なので、出来るだけ大きく丸く塗りましょう。
また、白目の部分はスノーホワイトで塗ります。
スノーホワイトは普通のホワイトと違い、他の色の上に描けるホワイトです。
白を重ね塗りしたり、白で修正したりしたい場合は「ホワイト」ではなく「スノーホワイト」を使ってください。

 

 

 

顔を塗り終ったら、次は身体です。
だるまの模様は、実物は金色で描かれています。
金色のポスターカラーもありますが、この部分だけを塗る為に金色を買うのはもったいないので、見た目が金色に似ている「イエローオーカー」で塗ります。
はみ出しても後から塗るカーマインで修正できるので気にせず塗ります。

 

 

グラデーション

模様が塗れたら次は身体の「赤」ですが、ここで少し工夫して「グラデーション」という技法を使ってみようと思います。
「グラデーション」というのは、色を段階的に変えて塗っていく技法の事です。
2つの色を混ぜながらやる事が多いのですが、段階的に色が変わっていく事を表現できればいいのですから、2色とは限りません。
また、混合色を作らずに、初めから同系色の違う色を使う場合もあります。
今回は、最後の「初めから同系色の違う色」を使ってグラデーションを表現してみます。

だるまの顔の周りは、他の部分よりもくぼんだ形になっています。
なので、表面の赤よりも陰になっている事を表現する為に、「赤」より少し暗い「ライトレッド」という色を使います。


この場合、必ずしもライトレッドを使わなくても、赤に少し黒を混ぜるなどの方法でもグラデーションは表現できます。

 

 

次に、「カーマイン」で、赤い部分を塗っていきます。
ここでも、模様や漢字を塗る時にはみ出した部分を修正しながら塗るので、出来るだけ細い筆を使います。
僕はナムラのデザイン筆のひとつ、面相筆を使って塗ります。



ライトレッドで塗った部分が他のカーマインで塗った部分よりもくぼんで見えるのがお分かり頂けると思います。

 

 

仕上げ

ここまで塗ったら年賀状用のイラストとしては完成です。
年賀状用ですから、周りは文字を書く為に空けておきます。

しかし、ここではひとつのイラストとして完成させておきたいので、バックを塗っておきたいと思います。
やはり赤にはブルーがよく合いますね。
「ライトブルー」という色でバックを塗って完成とします。

 

 

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今はLINEやSNSがあるので、ハガキにイラストを描いて出す機会も減っているかと思います。
しかし、そうしたネット環境を使うにしても、手描きのイラストがひとつあるのとないのでは、全く受け取る印象が違いますよね。
まだ今のようにネット環境が普及する前の時期に、僕もかなりの数の年賀はがきを受け取っていた事がありますが、印刷だけの年賀状ってなんだか味気ないですよね。
一言でも良いから相手の言葉が手書きで描いてあると、それだけで嬉しくなったものです。
それは、時代がどんなに変わっても、変わらない部分だと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です