手書きイラスト上達の為に必要なもの~勉強と仲間~

皆さん、こんにちは!
ポスターカラー大好きイラストレーターのすずきかずたかです。


ポスターカラーで描いた作品

 

今回は、僕が強く影響を受けたマンガ家の方たちの体験談から、僕が共感したり、僕が同じような体験をした部分を中心に、どうしたらより良い作品を楽しく描けるかを考えてみたいと思います。 


赤塚不二夫さん

藤子不二雄さん

 

映画や他の作家から学ぶ

赤塚不二夫さんや藤子不二雄さんなど、僕が強い影響を受けたマンガ家の方たちは、いずれの方もたくさんの映画を観て、たくさんの他作家の作品を観ています。
映画を観たり、好きな作家の作品をたくさん見る事によって、時代背景や、舞台となる国や場所が違うものを描けるようになり、作品の幅がグンと広がります。


僕がその色彩感覚に強い影響を受けた映画「チャーリーとチョコレート工場」

僕が最も強い影響を受けたイラストレーター鈴木英人さんの作品

 

もちろん映画や他の作家の作品を1回や2回観たくらいで海外の景色が簡単に描けるようになるわけではありません。
しかし、観て印象に残ったものは、必ず頭の中の引き出しにしまい込まれ、必要な時に無形の資料として役立ってくれます。 

 

そもそも記憶にないものは役立てようがありません。
例えば僕はイラストレーターのわたせせいぞうさんのギャラリーには何回も見学に行ったことがあります。
僕はわたせせいぞうさんの初期の作品の色の塗り方に非常に興味を持っていて、ギャラリーの係員の女性に色塗りの技法などをかなり突っ込んで質問した事があります。


成城学園前にあったわたせいぞうさんの「アップルファームギャラリー」。今は白銀台に移転しています。

僕の質問攻めに音を上げた女性係員の方は、別のフロアから企画部の方を呼んできてくれて、僕はその方にもかなり突っ込んで質問しました。 

 

わたせせいぞうさんは色塗りに関し、現在では色指定だけしてほとんど印刷業者の方に任せているようですが、初期の作品ではマーカーを使っていました。 そのマーカーは、PANTONE(パントーン)という、アメリカから取り寄せたもので、現在は製造中止になっています。

 

また、わたせせいぞうさんの作品は、鈴木英人さんの作品と似ていると言われることがありますが、鈴木英人さんの描く風景画には人物が描かれることはなく、わたせせいぞうさんの描く風景画には必ずと言って良いほど若い男女が描かれています。 


わたせせいぞうさんの作品

鈴木英人さんの作品

その時の話の内容を僕は記録して保存しているわけではありませんが、話の内容は大まかに僕の記憶に沁み込んでいます。 

わたせせいぞうさんがマーカーで色塗りをしていると言っても、その技法を隅から隅まで訊いたわけではありませんし、それは意味のない事です。 

しかし、そういう話を聞いた時の記憶が僕の中にあるので、わたせせいぞうさんのような温かみのあるオシャレなイラストを描こうと思ったら、僕はその企画の方から聞いた話を元に描き方を考えたり資料を調べたりしますし、鈴木英人さんのように乾いた感じのするタッチのイラストを描きたいと思った時には人物を描かないようにします。 


僕がマーカーで色塗りした作品①「父子フィッシング」

僕がマーカーで色塗りした作品②「僕のアトリエ」

 

これは、好きな作家の作品を見た結果得た知識を活かして、その為の描き方や資料を調べたり、自分の描き方を工夫しているという事であり、マネとは違います。
映画を観たり、好きな作家の作品をたくさん見る事で作品の幅が広がるとは、そういう事だと僕は思います。 

 

人間観察から学ぶ

絵やイラスト作品、映画だけではなく、日常での人間観察も重要です。
例えば、ある人の絵を描いた時に、その描いた対象者がどんな気持ちなのかを表現するには日常での人間観察も大事になります。
人はどんな気持ちの時にどんな仕草をするのかを(日常の観察から)考えて描きます。
逆に、どんな仕草がどんな気分を表しているのかも同じように考えて描きます。 

 

気持ちだけでなく、性格も仕草に表れます。
うつむき加減の人は内気に見えます。
上を向いて歩くのは楽天家に見えます。
ふんぞり返っている人は偉そうに見えます。 

 

 

仲間から学ぶ

また、どんなに絵が好きでも、常に1人で描いたり考えたりでは楽しくありません。
絵の好きな友達とグループを作ったり、既にあるコミュニティに参加して遊びながら描いた方が早く身につきます。
僕は大学を出てからしばらくは婦人服や家電メーカーで営業マンをやっていたのですが、その傍ら「デザイン教室」に通っていました。
「デザイン教室」ですから、イラストだけではなく、レタリングレイアウトの勉強など絵だけではない事も学んでいましたが、同じ教室に通ってくる人たちはやはり絵が好きな人が多く、共通の話題で盛り上がったり、それが励みになったりしました。 


僕の通っていたデザイン教室で年1回開いていた「作品展」で。大勢の仲間とは励まし合い、刺激し合う事が出来ました。

共通の目的を持った仲間がいると、仲間を面白がらせる為にいろいろ工夫をするようになります。 

その為に、どうしたら楽しそうな絵、オリジナリティ溢れる絵になるか自発的に勉強するようになります。 

僕の大好きな赤塚不二夫さんや藤子不二雄さんらのトキワ壮出身の人気マンガ家さん達も、大勢のマンガ家仲間が同じアパートに住んでいた為に、作品を仲間に見てもらったり、アイディアは出ないときは相談し合ったり、絵とは直接関係なくても一緒に映画を観たり遊びに行ったりする事で大いに刺激を受け合いました。


トキワ壮出身のマンガ家のメンバー。手塚治虫さん、石ノ森章太郎さん、藤子不二雄両氏、つのだじろうさん、赤塚不二夫さんなどがトキワ壮の出身です

 

 まとめ

こうしたエピソードからわかる事は、何を描くにしても諦めず粘り強くやっていくことが必要だという事です。
自分の作品のどこが良いのか、人にはわかってもらえないこともあります。
しかし、そこで落ち込むのではなく、わかってもらうための前向きな努力をする必要があります。
その時に仲間というものはとてもありがたいものです。
そしてその答えは作品に出てきます。
前向きな努力には必ず正解(正確に言うと正解に近いもの)があります。
仲間というものは、自分では気づけない正解への道のりやヒントを教え合う存在だと僕は思います。

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