初心者向け~ポスターカラーでボカシを入れた柿の手書きイラスト

皆さん、こんにちは!
ポスターカラー大好きイラストレーターのすずきかずたかです。


ポスターカラーで描いた作品

 

ポスターカラーは「不透明水彩絵具」と呼ばれ、いわゆる一般に「水彩絵具」と言われているのは透明水彩絵具です。

 

透明水彩絵具は色のにじみやぼかし、紙の色や下描きが透けて見えるという特性を活かした味わいのある絵作りの可能な絵具です。

 

対して不透明水彩絵具であるポスターカラーは、不透明というくらいですから、下描きや、下地の紙の色を透けて見えるように描くにはちょっと不向きです。
しかし、ポスターカラーでも、色のにじみやぼかしを作る方法はあります。

 

そうする事によって、ポスターカラーの強い発色を活かしながら、日本画のような味わいを出す事も可能です。

 

イチョウの描き方のお話では、筆に水だけを付けて色と色の境目で筆を動かす事で、ぼかしの様な効果を出す方法をお伝えしていますが、他にも方法はあります。

 

描きながらご説明しましょう。
今回は果物の柿を描きながらご説明したいと思います。
まずは下描きです。

 

下描き

下描きはいつも通り、2B、4B、6Bなどの色が濃くて芯の柔らかい鉛筆で行ないます。
柿の実物や、ネットで探した画像など何でも良いので、見ながら描きましょう。
実物を見ながら真似て描くのが、絵が得意になる一番の早道です。

 

①まず、楕円形の中に柿のヘタの中心を描きます。

柿は、リンゴやナシのような果物より横に広がったような形をしているので、出来るだけ本物に忠実に描いてみましょう。
実物や写真を見ながら何回も描いてると、そのうち見なくても記憶とイメージだけでも描けるようになります。

 

②ある程度輪郭が描けたら、ヘタの周りの葉など、細部を描き込んで行きます。

これで下描きは終わりです。

 

色塗り

いきなりクライマックスですが、色塗りに入ります。
今回使う色は、ニッカ―ポスターカラーの「クロームイエロー」「オレンジ」「オリーブグリーン」「ローアンバー」「ネープルズイエロー」です。

 

③まず、ヘタとその周りの葉をオリーブグリーンで塗ります。
僕はナムラのデザイン筆のひとつである面相筆を使っていますが、細い筆ならなんでも大丈夫です。しかしナムラのデザイン筆はポスターカラーととても相性が良いので、可能であればナムラのデザイン筆をおススメします。
大型画材店の「世界堂」さんや、「東急ハンズ」さんのように大きな店舗に行けば売っています。
Amazonなどのオンラインストアなどでももちろん購入する事が出来ます。

 

 

④葉が塗れたら、葉の中心や、ヘタの部分をローアンバーで塗ります。
こうする事で、平坦な絵にならずに、リアリティが出ます。

 

⑤次に柿の実を塗りますが、光の当たっている部分とあまり当たっていない部分を色分けしたいと思います。
まず柿の左側から光が当たっている体にして、左下をクロームイエローで塗ります。

 

 

⑥残りの部分をオレンジで塗ります。
全部塗る前に、クロームイエローとの色の境目の処理をします。
ここで使うのは「ティッシュ」です。
丸めたティッシュを霧吹きなどで湿らせ、色の境目を「拭いていく」というイメージです。
実際には軽くこすっているのですが、イメージとしては「拭いている」ように丁寧に、優しくこすってください。
霧吹きを使わずに、直接水をつけても良いのですが、水のつけ過ぎには注意してください。
水をつけ過ぎるとぼかしが均一にならず、まだらになってしまいます。

濡れたティッシュで拭いている時に、ティッシュに色がつき過ぎたらティッシュを変えてください。
色の付き過ぎたティッシュで拭くと、その色がまた紙に付いてしまうからです。

上手くいかないと思った時は、乾くのを待ってもう一度色を塗ってから再度濡れたティッシュで拭いてください。
重ね塗りが出来るのはポスターカラー最大の長所です。

そうは言っても、思った通りにぼかすのは何度か練習が要ります。
いきなり思い通りにはぼかせないものだと思って、何度もトライしてみてください。
やっているうちに必ずうまくいくタイミングがあるはずです。
僕も、ここから完成形に持って行くまでに数回塗り直しています。

 

⑦何とか納得のいくぼかしが出来ました。
オレンジも全部塗り、次はバックの色塗りです。

 

 

バックを塗る

⑧柿より濃い色を塗ってしまうと、苦労して塗ったぼかしが目立たなくなってしまうので、明るいネープルズイエローでバックを塗りました。
これで完成です。

 

 

まとめ

ぼかしのやり方は他にもいろいろあります。
例えば、エアブラシという道具を使って霧状に吹きつけるやり方もありますが、ここでは器具など使わずに、手描きでぼかしを作る方法をご紹介しています。
エアブラシなどの道具は、また別の機会にご紹介したいと思います。
まず絵の描き始めは、ご自分の手だけで、「描く感覚」を体感して頂いた方が絶対に良いと思います。
道具は説明書を読めば誰でもある程度同じような効果を得られます。
しかし、あなたの手で描いた絵は、あなただけのものです。
世界にひとつしかないオンリーワンの絵です。
オンリーワンをどんどん磨いて行って頂きたいと思います。

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