初心者向け~ポスターカラーで色塗りするコーヒーカップの手書きイラスト

皆さん、こんにちは!
ポスターカラー大好きイラストレーターのすずきかずたかです。


ポスターカラーで描いた作品

 

今日は、これから絵を始めたいという方の為に、「コーヒーカップ」の描き方をお伝えしたいと思います。
「コーヒーカップなんて、なんて単純な!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、仰る通りコーヒーカップの造形は単純です。
しかし、単純だからこそ描く人の個性が出やすかったりとか、意外とバランスを取るのが難しかったりします。
だからこそ、練習にはピッタリなんです。
それでは、いつも通り早速下描きから始めたいと思います。

 

 

 

下描き

下描きはいつも通り、2Bか4Bくらいの柔らかくて濃い鉛筆を使います。
理由はいつもお伝えしているように、濃くて柔らかい鉛筆の方が思い通りの線を描きやすいし、消しゴムなどで消す時も、HBやHといった硬い芯の鉛筆よりも消しやすいからです。

 

見本に使うのは、実際にお持ちのコーヒーカップでも良いですし、ネットで探した画像でも結構です。
記憶だけで描くよりも、見本を見ながら描く方が絶対に上達は早いです。
取っ手の付き方とか、影の出方などもわかるので、実物を見て描く練習をしておけば、慣れてくればそれこそ記憶でも描けるようになります。

それでは早速、コーヒーカップの飲み口になる縁取りの部分を、楕円で描いてみましょう。
言うまでもありませんが、実際のコーヒーカップの飲み口は楕円ではなくてまん丸ですが、実際にまん丸に見えるのは真上から見た時だけですよね。
コーヒーカップを真上から見る機会は少ないと思うので、いつも見ているように、斜め上から見える楕円のような形を描きます。
この時に、コーヒーカップの厚みなどもよく観察して、楕円の中にもう一回り小さな楕円を描いておきます。

 

 

縁取りの楕円が描けたら、その両端から曲線を垂らして側面の形を描き、取っ手も描きます。

 

 

取っ手の内側の線を描いて、お皿も描きます。
描き方のコツとしては、見えている部分だけではなく、描きやすいように描く、という事ですね。
例えば、お皿や取っ手を描く時に見えている部分だけを描こうとすると、最初のうちは描きにくいかも知れません。
だから、お皿の見えていない部分もイメージして、ひとつの楕円として描いた方がスムーズに描けます。
取っ手も同じです。
余計な線は、後で消す事も出来ますし、色を塗るなら絵具で塗り潰してしまう事も出来ます。
これで下描きは完成です。
この後に色塗りをする場合は、影になる部分とそうでない部分の境界になる線をぼんやりと描いておくと、色塗りする時に塗りやすくなります。

 

 

 

色塗り

もちろん鉛筆で何回も見本を描く練習をしても良いのですが、絵を描く時に一番楽しいのは、僕は色を塗る時だと思います。
そこで早速僕は、いつも使っているニッカ―のポスターカラーで色塗りをします。
もちろん、実物と同じような色を塗っても良いのですが、僕はポスターカラーの手描き感たっぷりなところと、初めて見るのになぜか懐かしい、レトロな感じが好きなので、それを強調する為によりレトロっぽい色の代表であるセピア系の色を塗って行きます。

 

まず、セピア系の色では一番白に近い色の「ネープルズイエロー」で、カップの白い部分を塗ってみます。

 

 

次に、影になる部分を塗ります。
同じ影でも、光の当たり方で微妙に色が違います。
まず段階を追って、比較的色の薄い影から塗って行きます。
僕はネープルズイエローより少し濃い色の「イエローオーカー」という色を塗ります。

次にもっと濃い影の部分を塗ります。
僕は「ローアンバー」という色を塗ります。
セピア系のもっと濃い色もありますが、あまり色の落差をつけない方が優しい感じで僕は好きです。

 

 

 

影も全部塗ったら、まだ塗っていない部分を全部塗りましょう。
実際にはもちろん光の当たっている部分と影の部分にはこんなにハッキリした境界線はありません。
もっとぼんやりしています。
ポスターカラーでそうしたぼんやりした表現をする「ボカシ」という技法もあります。
これはあくまで好みの問題で、僕はポスターカラーのハッキリとした発色が好きなので、敢えて色と色をぶつかり合わせた時の効果を楽しむためにこうしています。

 

 

バックを塗る

いよいよ、色塗りの中でも一番楽しいバック塗りです。
広い面積の部分を幅の広い平筆で塗る時は、降り積もった新雪に足跡をつける時のような気分です。

 

それからひとつだけお詫びです。
画像を撮り忘れてしまったのですが、色を塗る時は細い筆(僕は面相筆という筆を使っています)で、コーヒーカップの周りをはみ出さないように塗ってください。

 

 

目安としては、コーヒーカップの輪郭から1センチ前後くらいの幅を塗れれば、あとはバックの色がコーヒーカップにまではみ出す心配はないでしょう。
また、コーヒーカップを塗る時にはみ出してしまった部分があれば、この面相筆を使ってカップの周りを塗る時にはみ出し部分も塗って、修正する事が出来ます。
しつこいようですが、ポスターカラーは重ね塗りが出来るので、はみ出したからと言ってガッカリする事はありません。
また、重ね塗りをするのはポスターカラーが完全に乾いてからの方が良いので、乾いていないのに慌てて修正しようとしないようにしましょう。
乾かないうちに重ね塗りをすると、違う色同士が混ざり合ってしまいます。

バックには今回は「バントシェンナ」という色を使いました。

いつもならバックにはセピア系とは全く違う系統の色を使いますが、今回は題材がコーヒーカップだったので、コーヒーに近い色を使いました(笑)

まとめ

これで完成です。

僕がここに書いている事のうち、鉛筆デッサンのやり方と、ポスターカラーの特性については客観的な事のみを書いていますが、色の塗り方については、あくまで僕がこういう色の選択をして、こういう塗り方をしている、という事をお伝えしているので、こういう色でこういう塗り方をしなくてはいけない、という意味ではもちろんありません。
実物に近い色を塗ったりとか、モノトーンで塗ったりとかでも、もちろん良いわけです。
僕は色と色のぶつかり合いを楽しんでいると書きましたが、もちろん実物のように色の境界をぼかす手法や道具もあります。
それはまた別の機会にお伝えしたいと思います。
とにかく、まず楽しんで絵を描く事が最優先です。
さあ、何となくその気になってきたあなたも、試しに描いてみましょう!!

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