皆さん、こんにちは!
ポスターカラー大好きイラストレーターのすずきかずたかです。
ポスターカラーで描いた作品
マンガ家の手塚治虫さんや石ノ森章太郎さんが強く提唱している、「多くの人に受ける絵の描き方」というものがあります。
手塚治虫さん、石ノ森章太郎さんとお2人の主力キャラクター
それは、大きく分けると次のような事柄です。
知識を身に付ける
同じ積み木を使っても、組み立てる人が違えば作品も違うものになります。
まずその作品を組み立てる為の積み木(知識)が必要であり、それらを集める(身に付ける)事が必要です。
一般常識、好きな分野の専門知識(釣りが好きな人は釣りの知識、スポーツが好きな人はスポーツの知識といったように)、マニアックな知識(例えばアニメが好きな人は、そのアニメのサブキャラの趣味まで知っているというように)、あって困る知識はありません。
常識を知らなければ、常識だけでは表現できない、非常識な絵の世界は表現できません。
赤塚不二夫さんは常識を知り尽くしていたから、あんなにナンセンスで非常識なマンガが描けたのです。
常識を知り尽くしていた「ナンセンスの帝王」赤塚不二夫さん
手持ちのパーツ(知識)は多すぎて困るという事はありません。
テレビ、インターネット、映画、本など、どんどん観て、どんどん読んで、たくさんの分野の知識を身に付ける事が必要です。
描きながら覚える
勉強はインプットとアウトプットの繰り返しですが、絵も同じことです。
最初はヘタでも良いからまず描き始める事です。
描き始めたら、ヘタだろうが失敗だと思おうが、とにかく1枚の絵を完成させます。
描きながらでも、わからないことは勉強できます。
全部身に付けてから描くのではなく、ある程度の準備が出来たら描き始めます。
実際に描いてみると、自分に足りないものを具体的に把握する事ができます。
その上で勉強していけば勉強は更に効率的なものになります。
好きなものを描く
好きな映画のポスターや、好きな場面を描く時はモチベーションが上がります。
僕は松田優作さんの大ファンなので、「ブラックレイン」を観るとモチベーションが上がります
僕は松田優作さんの好きな場面を観ると描く気がモリモリ湧いてきます
その時に、自分がどこを面白いと思ったのかを、できた絵を観た人が一目でわかるようにできるだけ多くの要素を入れ込むと、多くの人に受ける作品になりやすくなります。
その為には楽しく描く事がポイントです。
絵を描くという事は、描く人が楽しいという動機で描くのが最初の一歩です。
自分1人で楽しむなら、その楽しさは自分にだけわかれば十分です。
しかし、少し範囲を広げて友達に見せたいなどという場合は、少なくとも仲間内で通用するだけの興味を引く作品であることが必要です。
プロになるという事は、不特定多数の人が自分の作品を観る事になります。
その1人1人は絵に対する好みも感性も違います。
絵に対する理解度も違います。
理解してもらえないからと言って落ち込んではいけません。
そういう人たちに対しても、1人でも多くの人を楽しませるパワーがないとプロにはなれません。
僕自身もAmazonなどで作品を販売していますが、そういったサイトには必ずレビューというものがあります。
インターネット社会では、あらゆる人が見ていますから、ほめる内容のレビューを描いてくれる人がいると嬉しいし、励みになります。
しかし、その逆でネガティブな事を描き込まれる事もあります。
そういう意見に腹を立てるのは簡単ですが、冷静に読んでみて、「確かにそうだな」と思える内容の評価であれば、敢えてその意見を取り入れるくらいの度量の広さが必要です。
クレームで企業が成長するのと同じ理屈ですね。
Amazonの販売ページにはいろいろなレビューが書き込まれます。
人から好まれるイラストはどうやって描いたら良いのでしょうか?
それが一言で言えるなら、日本中が人気イラストレーターで溢れてしまいます。
「こう描けばウケるのではないか」という、観る人に媚びた小手先のテクニックは役に立ちません。
受ける為だけに描いた絵は、自分の好きでない要素が入り込む可能性がある、というのがその理由のひとつです。
良いイラスト、良い絵とは、描く人が表現したいものと、見る人・買う人が求めるものが一致した作品です。
僕が描きたいものを描いて買って頂いた作品「さあ、次、次!」
同じく僕が描きたいものと買う人が求めるものが一致した作品「ロス・ダウンタウン」
常識的な人であろうとすること
良いイラストや絵を描こうとするとき、その絵を見る大勢の人と作者が共感できる部分が多いほど、その作品は多くの人に受けます。
その為には、描く人は大勢の人の考え方や行動様式と共通点の多い「普通の人」である事が必要です。
考え方が偏っていると、大勢の人の共感を得る事は難しくなります。
しかし、ただ単に「普通の人」であるだけでも良いイラスト・良い作品は描けません。
プラスアルファとして自分だけの世界を持っているべきです。
それは、直接絵に関係ない事でももちろん良いです。
釣りが得意なら釣りについて調べ、SFが好きならSFについて勉強します。
そうした事の積み重ねがその人の個性になります。
参考までに、僕は釣りが大好きなので、絵に役立つかどうかは度外視して釣りの事はよく調べてSNSなどに投稿しています。
僕が釣りを題材にして描いた作品「チビッ子釣り師の昼寝」
僕が釣りを題材にして描いた作品「父子フィッシング」
ひとつの個性だけでやっていけるほどプロの世界は甘くありません。
長く多くの人に愛される作品を描くには、内面的なものが充実していることが必要です。
ここでいう「内面的なもの」とは、勉強や資料集めなどによって、どれだけ多くの分野に興味を持ち、勉強しているかという事です。
内面的なものを充実させるのが、より多くの人と共感できる部分を多く持つ「普通の人」です。
「普通の人」である事にプラスアルファとしての自分の世界をどれだけ持っているかという事が重要です。
僕の場合を例に挙げると、僕が絵以外にプラスアルファとして勉強しているのは(というよりも好きでやめられないのは)、釣り(特に船でのアジ釣り)、演技(自分でも芝居やアニメ声優をやる事がありますが、松田優作さんの事を語り出すと止まらなくなります)、スポーツ(やる方ではボクシング、剣道、観る方では野球など)です。
たくさんのプラスアルファを持っていれば、それだけ多くの人と共感できる可能性が高まります。
船でのアジ釣りは僕のライフワークです
松田優作さんはデビューの頃から大好きで、セリフを全部暗記するくらい観ています
ボクシングと剣道は自分でやるのが大好きです
王選手や原選手が現役だった頃のプロ野球は試合内容まで覚えています
まとめ
この文章を書いている僕も、よく人から「変わっている」と言われます。
ここで手塚治虫さんや石ノ森章太郎さんの言っている「普通の人」というのは、一般的な意味での普通の人が持つ感覚を理解しながら、自分だけのプラスアルファの世界に没頭できるだけの「個性」を持った人の事だと僕は解釈しています。
「平均的な人」というだけの意味の「普通の人」であれば、共感は得られるかもしれませんが、それが刺激的で面白い作品を描けるという事にはつながりにくいと思います。
だから、絵を志す人で、絵以外にも好きな分野のある人は、より多くの分野に興味を持ち、自分の世界を深堀していく事が大切だと思います。
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