皆さん、こんにちは!
ポスターカラー大好きイラストレーターのすずきかずたかです。
ポスターカラーで描いた作品
今回は、ポスターカラーでは他にどんな事が出来るのか?という事の一例として、「水墨画風」の魚のイラストを描いてみたいと思います。
ポスターカラーと水墨画の関係
ポスターカラーで描いた絵と水墨画は、ほとんど違う世界の絵のように感じますね。
しかし、ポスターカラーの「黒」は、絵を描く者の眼から見た場合、たいへん良い色をしています。
水墨画の歴史はたいへん古いものです。
ポスターカラーの黒はこの古さを全て吸収しています。
つまり、ポスターカラーの黒は、昔から「水墨画的」な絵を描く為に使われてきた絵具でもあるのです。
この特性を水墨画的に使わないというのは、ポスターカラーの特徴のひとつを全く活かさないという事であり、たいへんもったいない事です。
ポスターカラーで描く「水墨画風」イラストとは
水墨画の技法とは奥の深いものであり、一朝一夕に身に付くものではありません。
それなりの基礎画力も持っていないと描けるものではありません。
しかし、安心してください。
僕がここで描きましょうと言っているのは、あくまでポスターカラーを使った「水墨画風」イラストであって、「水墨画」そのものを描きましょうと言っているわけではないからです。
逆に言えば、ここでお伝えする「水墨画風」イラストの描き方は、従来の水墨画の描き方ではマネのできないものです。
下描き(プチ知識)
話が少し逸れますが、タレントで画家でもある片岡鶴太郎さんも、多くの魚の絵を描かれています。
草津にある「片岡鶴太郎美術館」にも何回も行った事があります。
鶴太郎さんは魚の絵を描きたくなると、魚屋さんでその魚を買って来て、それを見ながら描くと説明されていました。
また、鶴太郎さんの魚の絵の描き方は、トレーシングペーパーを使って描く対象を模写する方法です。
トレーシングペーパーとは、透かして複写するための薄い半透明の紙の事です。
こうした複写の事を「トレースする」とも言います。
何が言いたいかというと、鶴太郎さんほどの方でも、その都度本物の魚を見ながら描いているわけではなく、また、自分の感覚だけで描いているのでもなく、トレース(模写)という手法を使っている、という事です。
模写という言葉からは、何かマネをしているようなイメージがありますが、「絵」とはそもそもマネであり、買ってきた魚を模写したり、ネットの画像や写真を見ながら絵を描くことは、全く正しい絵の描き方だという事です。
なので、あなたも絵を描く時は、堂々と写真を見ながら描いたり、模写をしたりしてください。
絵を描く上で大事なひとつの要素は(あくまでひとつですが)、いかにもそれっぽく見えるように描く事、描いた絵を見た方が「この絵、なんだか良いなあ」と感じてくれるという事だと思います。
この、「なんだか良いなあ」と感じてくれる理由には、「何を見て描いたか」というプロセスは含まれていないはずです。
あくまで成果物として出来上がった作品が「良い」と思える絵に仕上がっているかという「結果」だと思います。
※ここに書いた、鶴太郎さんの絵の描き方は、あくまで僕が知り得る鶴太郎さんについての情報に過ぎないので、これが鶴太郎さんの描き方の全てではないであろう事を付け加えさせて頂きます。
下描き
それでは早速、魚の下描きから始めましょう。
今回はネットで探した「サケ」の画像を見ながら描く事にします。
いつものように、2B、4B、6Bといった、芯の柔らかくて色の濃い鉛筆で簡単にサケの形を模写していきます。
あくまで「水墨画風」イラストなので、いつものように色を細かく塗り分けるわけではないので、下描きはザックリとで結構です。
淡白な線で描かれているのが「水墨画風」イラストのひとつの持ち味でもありますので。
線引き
下描きが出来たら、ポスターカラーの黒を水で溶いて、少し太めの筆で下描きの上に線を描いていきます。
僕はナムラのデザイン筆の「丸ゴシック用」という筆を使いました。
線を描く時に、スピードを付けて一気に描けば滑らかな線になりますし、ゆっくりと筆を置くように描けばどっしりとした線になります。
濃淡をつける
線が引けたら、色を濃くしたい部分に、更に水を多めに混ぜて薄く溶いたポスターカラーの黒を塗っていきます。
この時に、キッチリと線の中を塗るのではなく、かなりアバウトな感じで、少しはみ出したりするとより「水彩画」っぽさが増します。
細部の描き込み
最後に、細い筆を使って細かい部分を描き込んで行きます。
僕はナムラのデザイン筆の「面相筆」を使いました。
当然今まで塗った黒より少し濃い目にして、メリハリを付けて描き込んで行きます。
まとめ
これで完成です。
いかがでしょうか?
特に水墨画の知識や基礎を持っていなくても描けそうですよね?
遊び心を持って描いて頂ければより楽しく描けるはずです。
もっと言えば、僕はいつものケント紙に描きましたが、半紙に描けば滲みなどが出て、更に「水墨画風」になります。
水墨画をうまく描けるようになりましょう、という話ではなく、ポスターカラーにはこうしたいろいろな技法がありますよ、という中のひとつのお話です。
こうしたいろいろな描き方を試してみる事で、どんどんポスターカラーの扱いにも慣れてくるはずです。
もちろん、こうした「水墨画風」イラストそのものを得意技のひとつにしても良いわけです。
まずは遊び心を持って、楽しく描いてみてください。
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