初心者向け~ポスターカラーの混合色で描く鏡もちの手書きイラスト

皆さん、こんにちは!
ポスターカラー大好きイラストレーターのすずきかずたかです。


ポスターカラーで描いた作品

 

今日はポスターカラーの「混合食」を使って「鏡もち」の絵を描いてみたいと思います。

 

 

 

ポスターカラーの混合色に付いて

僕は常々「ポスターカラーは混合色を作ると、もう一度同じ色を作る為には複数の色を同じ比率で混ぜなければならないので、同じ色を混合色で再現するのは不可能」と言って来ました。
しかし、数ある絵具の中でポスターカラーだけが混合色を作れないというのは寂しい話です。

正確に言うと、ポスターカラーで混合色を作る事は可能です。
ただ、ポスターカラーはその発色の強さゆえに、「なんとなく」「曖昧な」という表現が苦手な画材ではあります。
そこで、ポスターカラーで混合色を大量に使う時は、一定以上の量を同時に作っておく必要があります。

 

しかし、絵の対象物とは、どの部分も均一に同じ色をしているわけではありません。
その意味で、「同じ部分を全て、全く同じ色で塗る」という枠さえ取り払ってしまえば、ポスターカラーで混合色を作って塗る事はそれほど難しい事ではありません。

ではその方法はどうするのか?
そのひとつを実際にやってみましょう。

 

 

下描き

まず鏡もちの下描きからです。
いつものように、2B、4B、6Bといった、芯が柔らかくて色の濃い鉛筆を使って下描きをします。

 

鏡もちは、形がシンプルなので、記憶でも描けるかもしれません。
しかし、実際には細部がどうなっているのか、色塗りをする時に影の出方はどうなっているのかまでは記憶している方は少ないと思います。
なので、実物か写真を見て描く事をおススメします。
将来的にはもちろん写真を見ないでスラスラ描けるのが理想ですが、そうなるまでは写真などを見て描く方が上達は早いはずです。

 

あなたもよくご存知のように、一般的に鏡もちは二段に重ねられていて、その上にミカンが乗っているのが通例です。
なぜ鏡もちはそのようなスタイルをしているのでしょうか?

 

鏡もちプチ知識

話が横道に逸れますが、昔、古くは古代中国に起源を持つ、銅鏡(どうきょう)と呼ばれる丸い鏡がありました。
その銅鏡は、日本においては神道の信仰の対象とされ、「日本書紀」にも「三種の神器」のひとつとして登場します。

 

そうした由来から、神様の宿る場所として、銅鏡と同じ形の丸い餅を鏡に見立てて「鏡餅」と呼ぶようになりました。

 

鏡もちの上にミカンを乗せるのは、ミカンを橙(だいだい)とも呼ぶ事から、「家系が子々孫々まで代々(だいだい)栄えていきますように」という意味です。

 

今回は鏡もちの下に敷いてある葉っぱを描くところまでやります。
ちなみに鏡もちの下の敷かれているこの葉っぱはシダの一種で「裏白(ウラジロ)」という植物です。
裏白は名前の通り、葉の表側は緑色ですが、裏側は白くなっています。

裏白を鏡もちの下に敷く理由は2つあります。
ひとつは、「表には色が付いていても(汚れていても)心は白い(潔白)」という意味です。
もうひとつは、裏側の白色のように、「髪が白くなるまで長生きできるように」という意味です。

 

 

再び下描き

話がかなり逸れましたが、下描きに戻ります
写真を見ても、記憶で描いても、ほぼこのようになるはずです。
「裏白」の部分は、描き込む前に中心線だけ描いておきます。

 

 

次に、細部を描き込んで行きます。
ミカンのヘタや、裏白の葉などを描いていきます。
植物には左右対称に葉っぱが生えている物や、互い違いに生えているものがありますが、裏白は左右対称に生えているので注意しましょう。

ここまで描けたら下描きは終わりです。

 

 

色塗り

今回もニッカ―のポスターカラーを使って塗っていきます。
今回使う色は「オレンジ」「ホワイト」「パーマネントイエロー」「ローアンバー」「ジョンブリアン」「オリーブグリーン」「イエローオーカー」の7色です。

ニッカ―のポスターカラーは「世界堂」さんのような大きな画材店で購入できます。
また、世界堂さんのオンラインショップやAmazonなどからも購入する事も出来ます。
価格も決して高くはありませんが、手持ちの絵具がある方などは、それで代用して頂いても結構です。
また、僕が使った色と必ずしも同じ色である必要はありません。
あなたが「この色の方が良い」と思ったらその色でも良いですし、同じ色を複数の箇所に使用しても結構です。

 

 

まず、「オレンジ」でミカンを塗ります。

 

 

次に、今回のテーマである「混合色」のお話になります。
画像ではわかりにくくてたいへん申し訳ありませんが、オレンジが乾いてから、水で薄く溶いた「パーマネントイエロー」で重ね塗りをしました。
これで実際のミカンの色に近くなりました。

 

 



この黄色の乗せ方では物足りない、という場合は、オレンジが乾き切る前に黄色を塗る、黄色に混ぜる水の量を少なくして塗る、などの方法があります。
可能であればいろいろ試してみてください。

 

 

次に、「ジョンブリアン」でお餅の部分を塗ります。

 

 

「ジョンブリアン」が乾いてから、水を多めに混ぜて薄めた「ホワイト」を重ね塗りします。
水を多めに混ぜたのは、ジョンブリアンとホワイトの混ざり具合を良くする為です。
別のやり方として、ジョンブリアンが乾き切る前にホワイトを塗る、という方法もあります。
これで本来のお餅の色に近くなったと思います。

お餅を塗り終ったら、裏白の葉っぱとミカンのヘタを「オリーブグリーン」で塗ります。

 

お餅の部分が乾いたら、実物や写真を見ながら陰影を付けて行きます。
この時、陰になる部分に再度、今度は少し濃い目のジョンブリアンを塗ります。
これで陰らしくなりました。

 

 

仕上げ

仕上げに、裏白の葉柄(ようへい)という、茎のような部分を「イエローオーカー」で塗ります。
バックの色はお正月の飾りらしく赤にしようかと思ったのですが、ミカンが目立たなくなってしまうと思ったので、「金色」に近い「イエローオーカー」にしようかとも思いました。
しかし、イエローオーカーは既に葉柄の部分で使っているので、周りを同じ色で塗ってしまうと葉柄が見えなくなってしまいます。
従って、金色に近いパーマネントイエローにしました。

 

 

まとめ

いかがでしょうか?
ポスターカラーでの混合色というのは、決して出来ないわけではなく、やり方が他の絵具と違うだけです。
ただ、大量に使う時は作りだめをしておく必要があるので、余った時にもったいない為に、僕はあまり混合色は作らないようにしています。
しかし、今回のように塗る場所が小さな面積であったり、また、塗る対象が必ずしも「均一に塗られていなくてはならない」、例えば金属のようなものでなければ、今回のように重ね塗りの技法を使って混合色を作る方法もあります。
混合色で塗る技法は他にもありますので、それはまた別の機会にご紹介したいと思います。
まずは、楽しみながらいろいろお好きな色を塗って、その効果がどうなるか試してみてください。

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