初心者向け~ポスターカラーで描く靴の手書きイラスト

皆さん、こんにちは!
ポスターカラー大好きイラストレーターのすずきかずたかです。


ポスターカラーで描いた作品

 

今回は、僕達の暮らしの中で最も身近な、「身に付けるもの」の描き方をお伝えしたいと思います。

 

身に付けるものと言っても、洋服から帽子、アクセサリーと様々ありますが、今回は「オシャレの基本」とも言える「靴」を描いてみたいと思います。

 

靴のオシャレについて

なぜ靴がオシャレの基本なのか?
この思いに至ったのには、僕が学卒で4年間、東京スタイルというアパレルメーカーで営業マンをやっていた事が関係あります。
アパレルメーカーで営業をやろうなんて言う人は、まあ、たいていオシャレに関心があるわけです。

今のアパレルメーカーはどうだかわかりませんが、当時のアパレルメーカーと言ったら、体育会系というか、軍隊系というか、とにかく上下関係が厳しいわけです。
ちょっとダサい恰好をしていくと先輩から「すずき、お前そんなダサい恰好してくるんじゃねえよ!」と愛のムチというか罵声というか、とにかく叱咤の声が飛んでくるわけです。

 

特に言われたのは、ベルトと靴の色は同じにする、つまり、茶色の靴を履いた時は茶色のベルト、黒の靴を履いた時は黒のベルトをするのが基本だという事です。
今はそうでもないようですが、元々はベルトと靴の色を合わせるのが基本だったんです。

もうひとつ言われたのは、当時の僕は20代前半で、オシャレに関心があるとはいっても、新しいスーツやネクタイにばかり関心があって、靴を磨こうなんて事には神経が回らなかったんです。
これは取引先だった、伊勢丹のバイヤーにも言われた事がありますが、「どんなに着飾っても、足元が汚かったら何にもならないぞ」という事です。
これは現代でも変わらないですよね。
「オシャレはまず足元から」というのはいつの時代も一緒だと思います。
特に僕達は若かったから、女性の目をすごく意識していました(今でも意識していますが)。
女性はよく足元を見ていますよね。
男としては、意識せざるを得ません。
以来、(できるだけ)靴はきれいに磨いて、可能な限り、数足の靴を毎日ローテーションして履くようになりました。
その方が靴の傷みも少なくて済むんですよね。

これが、「靴はオシャレの基本」と僕が言い切る理由です。

 

ローファーという靴

今回はその靴の中でも、「ローファー」という靴を描いてみたいと思います。

 
ローファー

ローファーはアメリカで男性用の靴として進歩してきたアメリカントラッドの定番の靴です。
靴ひもを結ぶ必要のないスリッポンというタイプの靴で、気楽に脱いだり履いたりできるのが特徴です。
日本でも1960年代に流行ったアイビールックでは、ボタンダウンシャツレジメンタルタイ、ネイビーブルーのブレザー(いわゆる紺ブレ)にコットンパンツ、そして足元はローファーというのが定番でした。


アイビーブランドの「VAN」の創設者で日本にアイビーブームを起こした石津謙介さん

今でもディテールを変えながら流行を繰り返していますね。
その後もローファーはトラディショナルなファッションとして定着しました。
また、日本では欧米と違って靴を脱いだり履いたりする場面が多いですから、脱ぎ履きが簡単なローファーがビジネスマンにも愛されるようになりました。
また、日本ではアイビーをベースにしたブレザースタイルの学生服を採用している学校も多く、その場合、靴にはローファーを合わせる事が多いので、学生用の靴としても広く使用され、特に女子校生の靴として人気が高くなっています。

 

今回、なぜローファーを描こうと思うのかというと、オシャレの基本の靴であると同時に、ひものない靴なので非常に描きやすいからです(笑)

ここでは複雑なものを描くのが趣旨ではなく、身の回りにあるものをいかにそれらしく見えるように描くか、というのが趣旨なので、描きやすいシンプルなデザインのローファーで靴を描く練習をするのにも何の問題もありません。
もちろん、靴にもいろいろなデザインがありますから、ローファーでなくてはいけない、という事は全くありません。

 

 

下描き

それでは早速鉛筆での下描きから始めます。
いつものように、2B、4B、6Bなどの、芯が柔らかくて色の濃い鉛筆を使います。

 

靴はわざわざネットで写真を探さなくても皆さん持っていますよね?
ご自分の愛着のある靴を描く方が、よりモチベーションが上がると思います。

ローファーに限らず、靴は概ね細長い楕円形のような形をしています。
そして、婦人靴はもちろん、紳士靴もかかとの部分が少し高くなっています。

かかとの端からつま先まで、ほぼ直線に近い斜めの曲線を描き、これを靴底にします。
次に、かかとの部分を、やはり直線に近い曲線で覆い、履き口となる曲線を描きます。
履き口から指の付け根までつま先を囲むように曲線を描き、靴のような形になりました。

 

次に、細部を描き込んで行きます。
特にローファーは甲の部分に特徴がありますので、丁寧に模写していきます。
これで下描きは完成です。

 

 

色塗り

下描きが出来たら、ポスターカラーで色塗りをします。

まず、靴の顔とも言える皮の部分です。
僕はニッカ―のポスターカラーの「チョコレート」という色を使いました。
この時にポイントになるのは、皮の質感を出す為に、ツヤの部分を塗らないで残しておく事です。

 

皮の、ツヤ以外の部分が塗れたら、靴の中を塗ります。
僕は「オレンジ」と「ライトレッド」という色を使って塗りました。

 

 

さて、ここからが仕上げの段階なのですが、皮の部分の塗らずに残しておいた部分を、本当のツヤのように仕上げて行きます。
同じくニッカ―のポスターカラーの「ホワイト」を水で出来るだけ薄めて塗っていきます。
この「出来るだけ薄めて」というのがポイントです。
先に塗ってある「チョコレート」と白が混ざり合って、本当のツヤに近い色になるからです。
ここまで塗ってみて、まだまだ白と皮の色が反発し合ってますね。
そこで、筆に水だけ付けて、できるだけ自然に見えるように両方の色の上を何回も筆を動かしていきます。

 

 

ここまでやってみて、かなり実物のツヤに近づいたと思います。
もちろん本物のツヤと全く同じというわけにはいきませんが、そもそもポスターカラーという画材は写真のようにリアルに描く為のものではないし、このような出来上がりがポスターカラーの持ち味かと思います。

 

仕上げ

ここまで来たら、もう仕上げの仕上げです。
靴の底を、皮の部分より濃い色で塗ります。
僕は「ブラック」と「バントアンバー」という色を使いました。
皮同士の境目の色なども、できるだけ同系色を使って自然に見えるように塗っていきます。

バックの色は、ローファーのチョコレート色と、ポスターカラーのレトロ感を活かすために、同系色の「イエローオーカー」という色を使いました。
いつものように、細めの筆で周りを丁寧に塗れば、後の部分は太めの筆で多少豪快に塗ってもはみ出す事はありません。

 

ムラを作らない為には、いつもの通り、出来るだけポスターカラーに水を混ぜるのは少量にして、筆を極力同じ方向に動かすようにするのがコツです。

 

 

まとめ

どうでしょうか?
あなたの愛用の靴と同じように描けそうでしょうか?

身近なもの、特に自分の身に付けるものと言うのは、誰もが多くの場合、自分で選んだ「好きなもの」である事が多いと思います。

絵を楽しく描く、絵を根気よく本物に似てくるまで描き続ける、というモチベーションを保つには、まず描く題材が「好きなもの」である事が重要な要素だと思います。
ローファーに限らず、是非身近な「好きなもの」を描く事で、絵を描く楽しさをどんどん味わってください。

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