初心者でも描ける、ポスターカラーの簡単な花の手書きイラスト(椿)

皆さん、こんにちは!
ポスターカラー大好きイラストレーターのすずきかずたかです。


ポスターカラーで描いた作品

 

今回は花の手描きイラストのひとつとして、椿のイラストをポスターカラーで描いてみたいと思います。

 

椿という花について

椿は昔から「神が宿る木」と呼ばれ、親しまれてきました。
椿は「万葉集」の頃から日本人に愛され、京都の龍安寺には室町時代の椿まで残っています。

茶道でも大変愛されている花で、寒い季節は茶席が一面の椿になるという理由から「茶花の女王」と呼ばれています。

椿の花は花びらが根元でつながっており、花びら一枚ずつ散らず、散る時は丸ごと落ちます。
その様子が、人の首が落ちる様子を連想させる為に、日本では入院している人のお見舞いには持って行かない慣習があります。
椿から見たら迷惑な話ですね(笑)

 

 

椿を描く時の注意点

ここでは、一重咲きの赤椿の可愛らしさを活かしながら、ポスターカラーの持つ強い色彩で色鮮やかな椿を描いてみたいと思います。
注意点としては、花びらの重なり合う部分や陰影の描き方などです。
水彩画なら下描きが透けて見える特性を活かして塗る事も出来ますが、ポスターカラーは不透明水彩絵具なので、基本的に下描きの線を活かす事は出来ません。
なので、同じ色の花びら同士が重なり合う部分に陰影などを描き込む事で、同じ色の部分が1枚1枚はっきり認識できるようにする必要があります。

 

 

下描き

例によって下描きは2B、4B、6Bなどの色が濃くて芯の柔らかい鉛筆で行ないます。

椿の花は開き具合によって多少イメージが変わって来ますが、凡そ丸型のイメージです。
花の下には大きめの萼(がく)があり、萼から伸びた茎からは互い違いに大きな葉が生えているのが特徴です。

 

ザックリと輪郭が描けたら、細部を描き込んで行きましょう。
花びらは真ん中に切れ目のようなものがあり、ハート型に近い形をしています。

 

 

椿のもうひとつの特徴に「しべ」があります。
白くて細長いしべが何本も生えており、先端が黄色くなっています。

 

 

 

色塗り

ここまで描けたら、ポスターカラーで色塗りに入りましょう。
今回使う色は、ニッカ―ポスターカラーの「パーマネントイエロー」「カーマイン」「オリーブグリーン」「チョコレート」「サップグリーン」「クロームグリーン(1)」「セピア」「ローアンバー」「ターキーグリーン」「スノーホワイト」「コーラル」「バントシェンナ」の12色です。

もちろん、全く同じ色でなくでも結構ですし、同じ色で複数の箇所を塗っても大丈夫です。
あくまで練習ですから、色は必要になった時に買い揃えていく方がむしろ良いと思います。
それに、いろいろな色を試してみた方が、色による見え方の違いが確認できて面白いと思います。

 

 

まず「しべ」の先端にパーマネントイエローで黄色を付けて行きます。
ポスターカラーは透明水彩絵具よりも粘着性が強いので、サラサラと色を乗せていくという風にはなかなかいきません。
取り敢えずこの段階ではカッチリときれいに塗れなくても大丈夫です。
しべの部分を先に塗らないと、せっかく描いたしべの下描きが花びらなどの着色で見えなくなってしまいます。
「しべ」から塗っていく理由はそこにあります。

 

しべに凡そ黄色を塗れたら、次は花びらを塗っていきます。
この時、花びら同士の境目は鉛筆の下描きを消さないように残しておきます。
全部塗ってしまうと、ポスターカラーは不透明なので下描きが見えなくなってしまいます。

 

 

花びらの境目を残して塗れたら、次は「しべ」の白い部分を塗ります。
透明水彩絵具ならそのまま下描きを利用しても良いのですが、ポスターカラーはその発色の強さが持ち味なので、スノーホワイトで塗ってしまった方が仕上がりはきれいですし、違和感もなくなります。
ポスターカラーには透明性はありませんが、ホワイトだけは塗りつぶしても下描きが見えるので、ここは思い切って塗ってしまいましょう。

 

 

次は、塗り残しておいた花びらの境目に陰影をつけるイメージで着色をしていきます。
花びらと同系色の濃い色を塗っていけば、丁度影を利用して花びらの1枚1枚を区別できるようにする事が出来ます。
加えて立体感を出す効果もあります。

 

 

 

次は、しべの白く塗った部分です。
実物はしべとしべの間から、向こう側の花びらが見えているのですが、そこまで写実的に描くのはここでの目的ではありません。
写真などで見ると、しべの白と花びらの赤がぼやけて混ざり合って見えるので、ここでは「コーラル」というピンク色に近い色で塗ってみます。
ホワイトの下から透けて見える鉛筆の下描きをなぞって、サッサッと線を引くように描きましょう。

 

 

 

次に葉っぱですが、裏と表は光の当たり方が違うので、色は変えた方が良いです。
萼(がく)と葉の裏を同じ色で塗ってみましたが、萼の方は後で別の色に変えました。

 

 

いよいよ完成に近づいて来ました。
葉の表は裏側より濃い色を塗ります。

 

 

 

あとは細かい部分の仕上げです。
葉の真ん中のに線を入れたり、茎を塗ったりして仕上げます。
また、最初の萼(がく)の黄色もここでもう一回しっかりと塗って仕上げましょう。

 

 

バックを塗る

いよいよバックを塗って仕上げです。
はみ出した部分もバックの色で塗りつぶしてしまいましょう。
例によって、面相筆などの細い筆を使って、椿の周りを幅1㎝くらい塗っていきます。
こうする事で、椿の部分にバックの色がはみ出さないようにします。
椿は寒い季節の花なので寒色系の色がよく合います。

 

 

最後に平筆などの太い筆を使って思い切りバックを塗り、完成です。
なるべくポスターカラーに付ける水を最小限に留め、筆をなるべく同じ方向に動かして塗る事でムラにならないように気を付けます。
ムラになってしまったら、乾いてから再度ポスターカラーの濃さや塗り方を工夫して出来るだけムラにならないようにしましょう。

 

 

 

まとめ

花の絵を描く時は、できるだけきれいな色を使うようにした方が良いですね。
その方が花本来の可愛らしさやきれいさが活きてきます。
かと言って、僕が冒頭に書いた通りの色を全部一挙に買い揃える事はありません。
今ある色でできるだけ実物に近い色を塗るくらいのイメージで良いと思います。
ペースとしては、新しい作品を2~3枚描く間に1色ずつ増やすくらいで良いと思います。

また、筆は、最初は面相筆と平筆の2種類くらいあれば十分だと思います。
僕はデザイン教室の出身なので、ナムラというメーカーのデザイン筆を使っています。

今あるものを活かしてどれだけ満足の行く作品を描けるか工夫するのも、絵を描く楽しみのひとつです。
まずはお手軽に、身近なものから、身近な画材や道具で描いてみてください。
描く題材は、あなたの好きなもの、あなたの描きたいものを描くようにしてください。
これ、一番大事な事です。

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